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懐かしき遊びの戦略


 PDF |懐かしき遊びの戦略|

 小学生の時に誰しもがやったであろう遊び。「グリコ・チヨコレイト・パイナツプル」。いまさら説明の必要も無いがジャンケンで勝った手によってグーならグリコ、チョキならチヨコレイト、パーならパイナツプルと言葉を発しながら、その文字数分だけ前進するというゲームである。
 このゲーム、注意すべきはグーが圧倒的に不利である点である。チョキ、パーが6文字であるのに対し、グーは3文字である。グーで勝ってもチョキ、パーの半分の利益しかえられないわけである。小学生で少し考えると、チョキとパーを出すのが有利かなとふと気づく。そして、チョキとパーなら、チョキを出しておこうと考える。小学生にありがちなのはチョキを多く出す子供である。
 しかし、もう少し考えればチョキが多い状況の中で得点は少ないが堅実に勝てるグーを出したほうが良いと気づくかもしれない。しかし、それを読んでパーを出したほうがいいのか?それをさらに読んでチョキを出したほうがいいのか?読みすぎは堂々巡りとなる。

 通常のジャンケンでもそうだが、確実に有利な戦略(最適反応戦略)というのがない状況というのは往々にしてある。その場合には確率的に行動するというのが最適反応(ベイジアン・ナッシュ均衡)である。通常のジャンケンならグー、チョキ、パーを確率1/3づつ出しているのが最も良い戦略である。出す手に偏りがあると、それを悟られて逆に逆手に取られる危険がある。
 「グリコ・チヨコレイト・パイナツプル」においてはどのような確率で振舞うのが一番良いのか?高得点狙いでパー・チョキを多用すべきだろうか?堅実さを狙ってグーを多用すべきだろうか?