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高次の圏


 高次のcategoryについては様々な人が、これまた様々な解釈で定義を試みている。n-category cafeというブログまで立ち上がっているほどである。Leinsterの【Lei01】によると、によると、10以上もの定義がそれぞれ独立に考えられているらしい。
  • Strict n-category
  • ω-category
  • n-fold category
  • Tamsamani category
  • Segal category
  • Quasi category
  • Simplicial category
  • Operadic category

 一番安易に思いつくのはstruct n-categoryと呼ばれる、帰納的に(n-1)-categoryがenrichしたcategoryである【CS06】で、n-graphから考えている【OM01】もある。しかし、これは条件が強すぎるという意見も多々ある。少し弱めた概念としてweak n-categoryと呼ばれるものがある。identityの条件を弱める事を考えているのは【Koc04】である。Simpsonはn-categoryの間のmap【Sim00】や、simplicial localizationとの関連を調べている【Sim01】

 似た概念だが、objectとmorphismがすべて同じ一つの集合と考え、structure mapで定義するのがω-categoryである。この場合∞の場合も同様に扱えて良い。これもstructure mapのrelationを弱める事により、weak ω-categoryが良く扱われている【Fut04】【MT00】。ω-categoryのnerveというのは色々考えられている。Streetの【Str87】でn次の[n]に対応するcategoryが定義されて以降、【Gra01】や、【Ber03】なんかで考えられている。Globalur ω-categoryというのもある【Met08】【Bro08】。weak ω-categoryのsimplicial objectを考えているのは【Ver06】である。

 Double categoryの拡張としてcategory objectを取り続ける事でn-fold categoryを考える事ができる。Thomason typeのn-fold categoriesのmodel structure【FP08】も考えられている。

 small categoryはsimplicial setと関係が深いのだから、1-categoryをsimplicial setと考え、そのsimplicial objectを取り続ける方法でTamsamani categoryは定義される【Toe04】。よく似ているのはsimplicial spaceの一種であるSegal categoryである。Segal categoryはpreSegal category(あるSimplicial space)のfibrant objectとして特徴付けられる【Ber05a】【Ber05b】。さらにBergnerはsimplicial setのenrichしたsimplicial category、simplicial setの一種であるQuasi categoryとSegal categoryを比較し、model categoryとしては同値であることを示している【Ber06】。また【Por04】でもSegal categoryとQuasi category、そしてS-categoryが比較されている。BergnerとRezkによって、種々の(∞,n)-categoryの比較も行われている【BR11】
 【BK10】で用いられているのは、categoryとweak equivalenceのpairであるrelative categoryのcategoryを考えるものだ。simplicial localizationやsimplicial nerveを用いて、simplicial categoryやbisimplicial setとの対応を与えている。

 Kan complexよりも若干弱いlifting propertyを満たすquasicategory 【Joy08】【Rie08】を積極的にhigher categoryとして利用しようとしているのはLurieである。【Lur08】などを見てみるといい。かなりの長文であるが、非常に丁寧に解説してある。彼はtopological category、simplicial category、quasi categoryをの間の関係を考え、同列に扱っている。具体的にはsimplicial (topological) nerveというものでquasicategoryへの対応を考えている。これはその定義からhomotopy論的なnerveの取り方だと思われる。【Mina08】のLurieの仕事の解説も日本語でわかりやすい。【Gro10】なんかもあるが、short courseと銘打ってある割りに長い。LurieはDrived algebraic geometryへの応用を考えているようである。【Nik10】では∞-groupoidと(∞,1)-categoryのalgebraic modelとして、Kan complex、quasicategoryに似たsimplicial setのクラスを考えている。
Simplicial topological categoryの圏のモデル構造を考え、そこから∞-groupoidの圏のモデル構造を考察しているのは【Amr11】である。

 LeinsterはOperadの言葉でhigher categoryを捕らえている【Lei00】【Lei03】。またHigher categoryの構造自体に注目している【Lei01'】