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代数のホモロジー


 空間などの幾何学的対象ではなく、代数的な対象、つまりはalgebraのhomologyについても様々な定義がある。
 Hochschild homologyはk-algebraであるAに対し、 によってchain complexをつくり、そのhomology群を取るものである。一般的にはA-bimoduleを係数として考えられる。Hochschild homologyのintroductionとしては【Lod98】【Thi06】があり、R. Melroseのlecture noteも役に立つ。少し長いがabelian category、k-linear category、dg-category、ringed spaceなど様々なHochschild homologyをまとめているのは【LB04】である。日本語なら【San02】がorderのHochschild homology、【Hay06】がgroup algebraのHochshild homologyを計算している。また、categorical algebraのHochischild homologyは【Xu08】が細分を用いて考えている。【BM】ではcyclic homologyと並列して書かれていて両者の関係がよくわかる。
 空間のsingular chainのHochschild homologyはその空間のfree loop空間のsingular homologyというのがよく知られている。栗林氏は【Kur10】でcohomologyがpolynomial algberaになる空間のsingular cochainのHochschild cohomologyを計算している。

 Cyclic homologyはさらにそこにS^1の作用というか、巡回群の作用を考える。具体的には、Hochschild complexのdefferencialをマイナスに取ったcomplexとを交互に並べ、その間のmapとして巡回群の作用を用いたものを考え、double complexをつくり、そのtotalize complexのhomology群をcyclic homologyと呼ぶらしい。category的な見方としては、cyclic categoryと呼ばれるΛからSetへのcontravariant functorを考え、それをsimplicial setと同様にhomologyを考えるというものである。その名の通りBΛ=S^1となる。Cyclic homologyについては【Lod98】を参照にするとよい。さらに、【Kel97】ではexact categoryにおいて、cyclic homologyを定義している。
 
 Andre Quillen homologyも(commutative)algebraに対して定義される。具体的構成については、【Iy06】を見るとよいし、Model categoryの視点からが 【GS06】がsimplical moduleのcategoryからのabelianazation functorのadjointという形で定義してある。より一般的なAndre-Quillen cohomologyについては【Bla08】なんかがある。

 群からもホモロジーが定義できる【AM04】。普通に群の(コ)ホモロジーといったときには、可換環上のgroup ringを考え、それ上のmoduleを係数にしてTor(Ext)で定義する。
 つまり群Gと可換環kに対し、group ringをk[G]と書けば、Mをk[G]-modlueとして、Mを係数にもつGの(コ)ホモロジーとは、

                
               

という形で定義される。この際group ring性質もまた重要で【Iye04】なんかは詳しく書いてある。また、有限群の場合には位数との兼ね合いも重要で例えば【Ade06】なんかを見ると良い。ただ、分類空間を考えた場合でもそのfiltrationからspectral sequenceを作ってホモロジー群を調べた場合に、上のような形と一致するので、

  

となる。Andre Quillen (co)homologyでは、群をsimplicial groupの元と見てabelianizationとhomotopy群を考える事により、上記のホモロジー群らの構成を与えている。Abelianizationの言葉どおり群のアーベル化がポイントになる。