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可微分多様体


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 Mがn次位相多様体で、さらに各R^nの開集合U_a、U_bと同相な開近傍V_a、V_bに対して、その共通部分がある場合、homeomorphismとそのinverceを用いてU_a→U_bが構成できる。これが解析で言うところのC^r級関数の場合、MをC^r多様体と呼ぶ。だいたい微分幾何なんかではC^∞多様体(smooth manifold)で話をしてしまうようだ。ちなみに、位相多様体はC^0多様体とカウントする。微分多様体の基本的なことがまとめられているのは、【松本88】【服部89】である。他にも微分多様体の本はたくさんある。

 微分幾何学における重要テーマの一つは、可微分多様体の分類である。1次元の閉多様体(曲線)はcircleしかなく、2次元の閉多様体(曲面)も本質的に2種類しかない。
閉曲面の分類定理であるが、これは有名な定理で大体の本に載っている。たとえば【加藤88】 。あるいはarxivなら【Cai12】 に短い証明が記されている。これが3次元以上になると途端に難しくなる。3次元においてはThurstonの幾何化予想が有名である。

 微分多様体において、それ上の微分形式と外微分からchain complexが作れて、そのホモロジー群をde Rham(コ)ホモロジーと呼ぶ。微分幾何などでは重要なツールである。というのも具体的にホモロジー群を計算するといったときに、特異コホモロジーよりは幾分求めやすそうな気がする。面倒そうではあるが。de Rham定理によってそれら二つのホモロジー群は一致する事がわかっているので、こういう道具を使ってホモロジー群を調べる方法もある。

 C^r級多様体は十分大きな次元のR^nに埋め込む事ができる。例えば、射影空間やKlainの壷なんかも3次元では実現できないが、より高次元のユークリッド空間では実現できる。特にcompactなm次元C^r級多様体は2m+1次元のユークリッド空間に埋め込める事がWhitneyの定理で示されている。