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ホモトピー圏


 PDF |ホモトピー圏導来関手TorとExtQuillen functor

 ホモトピー圏というと思いつくのは位相空間の圏において連続写像からなるmorphismの集合をhomotopicという同値関係で割ったホモトピー集合に取り替えたものである。
この圏をHo(TOP)とかく。例えば関手、 を考えたとき、これがhomotopy不変であるということは、この関手がHo(TOP)を経由している事に他ならない。
 この考えは位相圏だけでなく、一般のモデル圏にも拡張できる。Homotopy categoryはobjectは同じでmorphismが異なってくる。【DS95】ではunivarsalityを用いて定義してあるほか、(co)fibrant replacementを用いてHom setのhomotopy類で具体的に構成してある。【DH06】では、Derived categoryのようにroofというかジグザグの図式をmorphismとしてもできるらしい。一番安易に表現するならweak equivalenceのinverceを形式的に付け加えたcategoryである。
 モデル圏間の関手がweak equivalenceを保つかどうかというのは単に、このホモトピー圏を経由しているかにかかってくる。この答えとして、(co)fibrant object間のacyclic (co)fibrationをweak equivalenceに移す関手なら、(co)fibrant object間のweak equivalenceに限りweak equivalenceを保ってくれる。これにはderived functorという考えを用いる。
 derived functorというのは先に見たようにモデル圏の間の関手

                 

をHo(C)を経由するように、

              

という分解ができないだろうか。あるいはこれに準じるような考えができないだろうかというものである。さらにここから、モデル圏の間の関手

                  

に対し、total left(right) derived functor

             

を考える事もできる。homological algebraを学んでいるとderived functorと聞いて真っ先に思い浮かべるのはabelian categoryのderived category間のfunctorであるが、homotopy categoryとderived categoryは同じことである【Mal06】

 もちろんモデル圏のホモトピー圏はその構造により異なる。位相空間の圏においても
Stromの構造でのホモトピー圏は通常の位相空間のホモトピー圏であるが、Quillenにおけるモデル構造でのホモトピー圏はCWのホモトピー圏である。

 二つのモデル圏の間のfunctorとしては、Quillen functorsが考えられる。これはadjoint pairなので、単なるfunctorというわけではないのだが、model categoryの構造をよく考慮してある。Lift axiomが幅を利かせるmodel categoryでは、adjointが非常に有効に使える。しかし、同値な条件が多数あるのでどれを定義にすればよいのか、迷ってしまう【Hir02】。Quillen functorからは自然とHomotopy category間のadjointが誘導される。特にweak equivalenceの保存に着目してQuillen同値というものが考えられるが、このとき、Homotopy categoryは誘導されたadjoint functorsでequivalencになっている。Quillen functorの性質で、faithfullnessに注目したのが【DRT09】
 一番身近な例として、Simplicial Setと位相空間の圏が挙げられる。そのためには幾何学的実現と特異単体集合の性質を思い出す。

              

となってこれはQuillen equivalenceである。この証明のネックとなるのは、

               

というweak equivalenceが存在した事実である。