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モデル圏


 ここではホモトピー論を展開する上で重要な構造を持つ圏、モデル圏(model category)について考えます。ホモトピー論といえば、というか位相幾何学で注目すべきはもちろん位相空間の圏である。モデル圏というのは簡単に言うと位相空間で学んだ、homotopy equivalenceやweak homotopy equivalence、fibrationやcofibrationといった写像のクラスの特性、概念を抽象化したものである。
 モデル圏を考えることにより、位相空間におけるホモトピー論だけでなく、代数学におけるホモロジー代数の理論も制御できる。

 始めてモデル圏という言葉が誕生したのは1960年代ぐらいでD,Quillenの本「Homotopical Algebra」【Qu67】によるらしい。その後数十年でかなり広く浸透し、あらゆる分野に顔を出すようになった。
 そして1995年にDwyerとSpalinski【DS95】によるモデル圏の文献では、なかなか読みやすい内容でモデル圏の重要さが伝わってくる。ここではその日本語訳のような形でモデル圏を説明する。Gerss Schemmerhornの【GS06】も面白いですし、本格的に学ぶならHoveyの「Model categories」【Ho98】とHirshhornの【Hi02】がお勧め。

モデル圏の定義 モデル圏の定義と基本性質
モデル圏の例 位相空間、単体的集合、鎖複体などの圏の例
ホモトピー論 モデル圏で展開されるホモトピー論
ホモトピー圏 ホモトピー圏と導来関手について
ホモトピー(余)極限 ホモトピー押し出し(ひき戻し)、ホモトピー(余)極限
Cofibrantly generated 形式化されたモデル圏の構造
構造を持ったモデル圏 Monoidal、simplicial、stable model categoryなど
Reedy model category Reedyの考案したfunctor categoryのmodel structure
Quillen homology Simplicial objectを用いたQuillen homology
T-model structure Model category+T-structure
Factorization system 様々なfactorization systemについて
Homotopical category Model categoryよりも条件の弱いcategory