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Dold-Kan対応


 Dold-Kan対応とはもともと、simplicial moduleとchain complexの関係を与えるものであった。simplicial moduleからchain complexは非常によく似ている。双方とも非負整数の次元をもった加群であり、その間に準同型がある。chain complexの方は次元を下げる準同型が一本だけだが、simplicial moduleの場合にはface、それから次元を上げるほうにもdegenerate mapが存在する。simplicial moduleからchain complexを構成する方法としては、各次元の加群はそのままでface mapの交互和で微分を定義するMoore complexの構成がある。これは至極わかりやすく、位相空間の特異ホモロジーを定義する際にも用いられている。
 一方、degenerateな部分をすべて割った加群を用いたnormalize complexを構成することもできる。ホモロジーをとればdegenerateな部分は消えてしまうので、無駄を省いたものである。重要なのはこの逆対応があり、圏として同値になるというものである。

       

これらの構成は、【May93】の5章に詳しく書いてある。
 Dold-Kan対応は様々に応用されているようで、【Sor11】ではsimplicial coalgebraとDGCの圏とのモデル構造の対応に使われている。また、【Sho11】ではbialgebraの公理に用いられている。