圏と関手トップ

Groupoid


 群というのは色々な定義があり、面白いのがobjectが1つで、morphismがすべてisomorphismであるcategoryと捉えられる事である。これはつまり、集合Hom(*,*)には合成によって積が定義でき、恒等射が単位元、そしてisomorphismしかないので、そのinverceが逆元と言うわけである。基本的事項はR.Brownのsurvey【Bro87】なんかを見るとよい。Groupoidはobjectとmorphismの集合、及び構造射で定義されるが、 【Peg12】ではmorphismの集合だけで定義し、Lie groupoidやHopf algebroidの定義に活用している。
 このうち、isomorphism以外のmorphismの存在も許せば、逆元の存在が保証されなくなる、すなわちmonoidである。また、逆にobjectが無数にあって、morphismがすべてisomorphismという形に拡張したのがgroupoidである。small categoryに対して、それをgroupoidificationという方法でgroupoidを構成することができる。方法は色々あるが、重要なのはgroupoinのcategoryからsmall categoryのcategoryへのinclusion functorのleft adjointとして構成されるという点である【BHW08】

 Groupoidは様々ところで現れる。例えば、群Gがactionした集合(空間)Xを考えたとき、よくやるのはorbit spaceのX/Gを考えたるするのだが、商を取らない方が良いという意見もある。Xがsmooth manifoldなんかで群Gのactionを受けていた場合、G/Xは滑らかでなくなってしまうのがいやらしい。そこで、G×X → Xの状況のまま考えようというものである。このactionのmapをtarget map、second projectionをsource mapにすることにより、groupoidと考えられる、つまりobjectはXでmorphismがG×Xである。
 また、集合の同値関係というのもある種groupoidである。Xの同値関係とは、R⊂X×Xの部分集合で反射律、対象律、推移律で閉じているものと考えられるが、objectをX、morphismをRとし、R → Xのfirst projectionとsecond projectionをそれぞれsorce、tergetと考える。このとき、identityは反射律、compositionは推移律、inverceは対象律を考えれば、自然と定義される。これは集合のcategoryからgroupoidのcategoryへのfunctorを与え、groupoidから集合へobjectを取り出すforgetful functorのleft adjointである。
 トポロジーで一番身近に感じるのは、空間のpathで構成されるfundamental groupoidであろう。ホモトピー論においては、groupoidの圏と空間の1-type(2次元以上のホモトピー群が消えているような空間)がある意味で同値である。

 Groupoidのcategoryにはsmall categoryと同じようなmodel structureが入る。というのは、代表的なsmall categoriesのmodel structureはJoyal type【Rez98】とThomason type【Tho80】があるが、それらはgroupoidに制限すれば同値である。【CGT04】【And78】【Str00】。その際、groupoidのnerveはKan complexになるという事も重要な事実である【Gj99】。さらに、【Ho01】ではそのmodel structureを用いて、stackを定義してある。

 Small category同様、二つの集合とstructure mapによってもgroupoidは定義される。これらに位相や連続性を与える事により、topological groupoidが定義される。Topological groupoidの言葉でorbifoldを記述したのは【Mor02】である。Topological groupoid上でhomotopy論を展開するために、【LU01】ではloop groupoidというものが考えられている。彼らはgroupoidでS^1の代わりになるようなものを探して、そこからgroupoidであるGへのfunctorをobjectとしてLGというものを構成している。また、groupoidのtopologyとして、【Bro05】という本もある。

 GroupoidにおけるMorita equivalentというものも考えられている。環の時と同じく、ある特殊なgroupoid上のbimodule(bundleと呼ばれている)ものが存在するとき、あるいは、groupoidをobjectとしたあるcategoryの中でequivalentという見方もできる。とくにMorita equivalentならば、分類空間がhomotopicになるという事実は面白い。Relative Frobenius algebraをgroupoidの言葉で表せるらしい【HCC11】