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ホモロジーの公理系


 PDF |ホモロジー理論Dold-Thomの定理

 (コ)ホモロジー理論とよばるホモロジーを構成する5つの要素。それが次元公理、完全性公理、加法性公理、ホモトピー(弱同値)公理、切除(懸垂)公理である。一般(コ)ホモロジーでは次元公理や加法性公理をはずしたりする。

 J.P.Mayの【Ma99】ではこれに加え、ホモトピー公理の変わりに弱同値公理というのも含めているが、CWが対象の限りではこれはホモトピー公理に含まれている。ホモロジー理論については彼の本に詳細が載っているのでよく読んでみるといい。Mayはホモロジー理論を構成してから、その一例として特異ホモロジーを簡単に紹介している。また日本語では【河玉02】に簡単に書かれている。

 さらにCW複体に関して、整数係数のホモロジー理論は同型を除いて一意に決まる。特異ホモロジーは明らかに公理を満たすため、 ほかの関手でもこの5つさえ確かめれば同列に扱い、ホモロジーと呼んで差し支えない。 ゆえに単体複体のホモロジー群、胞複体のホモロジー群、 空間の特異ホモロジー群など独立に定義されるホモロジー群はすべて同型となる。

 一つ面白い例としては、無限対称積のホモトピー群によって (被約)ホモロジー群を書き表せるというものである。Dold-Thomが発見した重要な事実は、 無限対称積がコファイバー列を準ファイバー列に変換するというものである。このことから、 完全性公理や懸垂公理が導かれる。この視点からホモロジーをとらえているのが、 【AGP02】である。 これには無限対称積の空間、それからDold-Thomの定理について詳しく書いてある。Dold-Thomの原論文はドイツ語なので、この本は非常に重宝する。