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カップ積とキャップ積


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 コホモロジー群にはcup積という環構造を導入できる。もちろん一般の環ではなく次数付の環ということになるが。
 cup productはsingular cochainのlevelにおいて定義される。DGM(defferencial graded module)が次数つきの環構造を持つとき、DGA(defferencial graded algebra)と呼ぶ。だが、chain levelではcup productは一般的に可換ではない。cohomologyをとってようやく可換になる(係数を可換環で考えた場合)。その辺りの可換性を整備するために、singular cochainとquasi isomorphicなDGAを構成する有名な方法はSullivan modelである。

 で、カップ積とは別にキャップ積というのも考えることができる。無論これも双対のようなもので、写像で言うと、

       

       

ということになる。これらの構成については 【中岡99】が詳しいです。 あるいは、【May99】には、また違った角度から定義してあってこちらの方が難解かもしれないがスマートだとは思う。

 ホモロジー群でも、diagonal mapとWhitney mapを用いて、

     

という構成でcoalgebraの構造を考える事ができる(H(X)が係数上のflat moduleであるとき)。もちろんこれはchain levelで全て考えられるが、normalizeしたcomplexで考えた方がよいようである。
 これらの積構造で重要となる∇:Eilenberg mapとρ:Whitney mapの定義や周辺の命題においてacyclic modelという手法が有力である。実際【中岡99】はその方法を採用している。しかし、【小中菅67】にあるように具体的な構成もできる

 もともとの空間Xが積構造を持つ場合には、そこから(コ)ホモロジー群の積のようなものを誘導するはずだという期待がある。例えば、Xが位相群でもよいし、H-spaceの構造でもよい。