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特異ホモロジー群


 PDF |ホモトピー論復習様々な空間の構成特異ホモロジー群

 Chain complexからホモロジー群を定義した。よって次に考えるのは、位相空間が与えられたときにそこからChain complexを構成する方法である。これには集合から自由アーベル群を作り出す方法を用いる。 整数を係数としたホモロジー群なら【加藤88】【中岡99】が読みやすい。

 ホモロジーの創始者はアンリ・ポワンカレと言われている。彼の元々のアイデアを読んでみるのも面白い。境界に注目するというアイデアの原型になったのはオイラー数(ベッチ数)であったと考えられます。小学生か中学生のころに2次元ぐらいの図形で、「面の数−辺の数+頂点の数」というのを計算して、1になったり0になったりというのを経験した事はないでしょうか。
 有限生成アーベル群の基本定理により、ホモロジー群が有限生成ならば、

   

という分解ができるわけですので、この自由部分(Z)の個数をXのn次Betti数と呼んで、
b_n(X)と表す。オイラー標数はさらにこれを用いて、

  

で定義される。面−辺+頂点の意味はここから来ている。このようにオイラー数やベッチ数はホモロジー群の一部の情報を抜き出したと考えるのが妥当である。逆にホモロジー群はこれらオイラー数やベッチ数の拡張(categorificationと呼ばれる)である。