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エタールホモトピー論


 |Cech複体

 Grothendieckによって、代数幾何におけるスキームと可換環の繋がりが明らかにされ、圏論の言葉で様々な概念が表されるようになった。
 可換環Aから構成されるSpec(A)というアフィンスキームは、通常ザリスキー位相を入れて考える。彼は、その位相では数が少ないと考え出した。その先にたどり着いたのが、エタール射と呼ばれる写像である。通常の位相空間では、開部分集合からの包含射があるが、それの類似である。それをすべて集めて位相とみなそうというアイデアであり、Grothendieck位相と呼ばれるゆえんでもある。空間の代わりに、それらはサイトと呼ばれる。
 エタール射からなるサイトをエタールサイトと呼ぶわけだが、圏論的な手法を用いることにより、空間の層の理論が適用できる。スタックなどと呼ばれているが。
 これらの操作は具体的な例を知っていないと何をやっているのかさっぱりである。

・空間の開集合のサイト
・空間上の写像からなるサイト
・集合のサイト
・エタールサイト
               
 空間と同じように、サイトに対してホモトピー群を定義するにはどうしたらよいか。1つには特殊な被覆であるsimplicial objectから、pro-simplicial setを構成し、pro-groupとして与えるというものである。集合のサイトにおける超被覆が可縮なKan複体と一致するというのは興味深い。 Artin-Mazurによる、【AM80】 が代表的なエタールホモトピー論の著書である。
 位相空間における超被覆とCech複体、そしてホモトピー余極限の関係を記しているのが、D. DuggerとD. Isaksenの【DI01】 の論文である。もともとはNerve theoremとして空間の開被覆から構成されるCech complexと元の空間がホモトピー同値という結果が知られていた。Segalの論文がDuggerらの論文で取り上げられているが、それによると1の分割などの条件が付いていたらしい。【Bjo03】でも共通部分の連結性を仮定している。