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森田理論


 PDF |森田同値の例森田理論Groupoid上の森田理論

 数学で日本人の名前が付いた理論や定理というのは珍しいが、環論に関するすばらしい定理およびその理論として森田紀一氏の仕事が評価されている。元々位相幾何学が専門だった森田氏は、二つの環をそれ上のmoduleで比べて、森田同値という概念にいたった。
 一番重要な例としては任意の環とその行列環である。これらは、環としては一般的に同型ではない(可換性や整域に着目する)が、森田同値である。
 森田同値の同値な条件に関する有名な森田の同値定理というものがある。これは、RとSが森田同値であることと、End_R(P)とSとが環同型となる射影生成な(S,R)-bimoduleが存在することが同値だということらしい。先の例に述べた全行列環は、End(R^n)と解釈すれば、R^nはprogeneratorであるから辻褄があう。詳しくは、 【Wei95】か、【Lam98】、日本語では【岩佐02】なんかに書いてある。

 森田同値の概念は環だけにとどまらず、groupoidやcategory的な方面にまで拡張されている。Derived categoryで森田理論を展開してあるのがRickardの【Ric89】である。DG categoryでもMorita equivalenceという概念もある。いずれにしても、あるcategory上のmodule(categoryからのfunctorと見るべき)というものを考え、特殊なbimoduleを持つという定義の方がいろいろな場面への一般化ができるように思える。実際、環をobject、bimoduleを1-morphsim、bimoduleのmorphismを2-morphsimとしたbicategoryにおいて、Morita equivalenceはmorphismとして扱える【Bro03】。やはり圏論的な見地から、S. Lackはlax functorの言葉を用いてMorita contextを考察している【Lac12】
 さらにDG categoryの圏におけるMorita morphismというのは、そのmodel structureのweak equivalenceとして取れるらしい【Tab05】