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T-structure and Core


 PDF |T-structureCoreTriangulated homology

 Triangulated categoryのT-structureとは定義から雰囲気を察するに、0以上と0以下のfull subcategoryに分けられるといった感じなのだろうか。このときの共通している0の部分がT-structureのcoreあるいはheartと呼ばれているものである。より一般的なheartの構成を考えているのは【AN09】である。
 とりあえずはabelian categoryのderived categoryであるD(A)を例に見てみるのが一番わかりやすい。homology群が0より上(下)で消えているかで、t-structureが定義されこの場合でのcoreは0次だけhomology群が残るもの、つまりA自身と同型となる。
 そのほかの例ではSpectumのhomotopy categoryなんかがある。これは上記drived categoryのt-structureがhomology群を用いたのに対して、今度はhomotopy群を用いて定義すればよい。Postnikov t-structureと呼ばれている。
 ネーター環上のderived categoryのcompactly generated t-structureの分類を考えているのは【AJS07】である。
 
 位相空間で考えれば(厳密に言うと位相空間、あるいはそのホモトピー圏は安定していないのだが)t-structureの概念はn-connectedに対応いている。それに関連して、n-equivalenceやweak equivalenceとの関連も見えてくる。Model structureとT-structureをmixしたT-model structureというものもある【FI05】

 一般にTriangulated categoryであるDの任意のT-structureのcoreはabelian categoryになる事がわかっている。という事は、このcoreのderived categoryであるD(A)は再びtriangulated categoryだが、元のtriangulated categoryと比べてどうなのだろうか?という疑問はある。D=D(A)の場合は、まぁ明らかに一致するしcoreやheartと呼ばれているからにはそれなりに元のtriangulated categoryの情報を秘めていそうであるが、残念ながら一般にはDとD(A)はcategory的にも等しくはならない。その理由は【GM03】によれば、morphismのconeがuniqueではない(up to isomorphicではあるが)ことが理由らしい。

 t-structureが与えられていると、truncation functorというものが考えられ、それを用いて元のTriangulated categoryからそのCoreへのhomological functorが構成できる。