安定(stable)というのは、suspension(shift)をとっても変わらない、つまり自由に戻す事ができる状況のことを差す。例えばchain
complexの圏では1回shiftが定義でき、これは元に戻せるが、位相空間の場合ではsuspensionを取った空間が元の空間とhomotopy同値になる事はcontractibleでも無い限り起こりえない。このジレンマを解消するために、位相空間の圏を少し改良して安定させたのが(suspension)spectrumの圏である。アイデアはchain
complexのように列になっていればshiftが自由にできるので、位相空間の列を考えてみればどうかという事だろうか。そしてここでのお話しの主体になるのはこのspectrumの圏のホモトピー圏である。
triangulated categoryの公理にも安定の条件が含まれている。これについてはNeemanの本【Ne01】か、Gelfand/Manniの本【GM03】や、あるいは一般の圏論での解説である「Category
and Sheaves」【KS05】なんかを見るといい。Hoveyの「model categories」【Ho98】の後半ではmodel categoryの視点からtriangulated
categoryを捉えていて面白い。
Spectrumや安定ホモトピー論に関しては、Adamsの本【Ad74】が有名。現代的な見方をしているのは、Hoveyのhome pageのpre-print【Ho01】や、【HSS00】なんかを見ると良いかも。Symmetric spectrumやE.K.M.Mのspectrum【EK97】の構成なんかもある。
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