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係数を持つ(コ)ホモロジー


 PDF |係数導来関手TorExt普遍係数・Kunneth定理

 今までのお話はすべて話を簡単にするために、(コ)ホモロジーの係数には整数環を用いてきた。整数環は1元生成の自由加群で構造も単純である。だが実際にはR加群Mを係数に持つホモロジー群が定義される。

          

で定義します。テンソル積をとってもchain complexの性質は崩れませんのでここからホモロジー群が定義できる。さらに、

          

で定義すれば、cochain complexができる。よって、

              

 が定義される。ただ、これといって特に変わるところはそれほどない。というのもあまり整数環の性質というのを用いて議論してきたのが少なかったからだ。無論、次元定理のところが変化しますので、ほかの具体的な計算にやや影響はありますが、整数環をR加群に単純に取り替えればすむものが多い。ただ、その中でも、再度練り直さなければならないのが普遍係数定理とキュネットの定理である。この二つは実は自由加群の部分群が自由という、もっと正確に言えば「単項イデアル整域」という条件を要求する。一般的な環で考える場合ではExtやTorが残ってくる。より正確にはKunneth spectral sequenceというものが考えられる。

一般のR加群を係数に持つ(コ)ホモロジー群に関しては、【河内00】が読みやすい。 この本では線形空間=R加群と考えている。 他には【中岡99】にも 一部係数付の(コ)ホモロジー群が載っているし、【May99】なんかもよい。