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関数解析


 PDF |Banach空間Complex homSpectrum弱位相Gel'fand-Naimark-1
     |Gel'fand-Naimark-2

 幾何学的、代数的対象を調べるとき、それ上の連続関数や線形写像を調べるという手法はよく用いられる。そういった写像や作用素全体の集合には位相的な構造と代数的な構造が両立していることが多い。代表例がBanach空間やHilbert空間、さらにはBanach algebraやC^*-algebraである。竹之内・阪井・貴志・神保による【竹阪貴神78】が日本語でわかりやすい。英語なら、【Sim63】がいいように思う。
 代数構造と位相構造が混在する世界では、どちらかの構造をもう片方の構造が制御するといった、面白い現象が多々ある。例えば、Banach空間の間の線形写像が連続というのは写像の有界性と同値である。さらにはBanach algebra上の線形関数は積構造さえ保てば連続である事が従う。通常の位相空間論では考えられないような事が起こる。
 関数解析(あるいは量子力学との関連)でよく用いられるのは、ヒルベルト空間上の有界作用素のなすC^*環である。特に任意の*-代数はこのような有界作用素環の部分環になっている。Gelfand-Naimark-SegalによるGNS表現は任意の*-代数上の状態から、ヒルベルト空間の有界作用素のベクトル状態への対応を一意的に与えている。
 Banach algebraが2つ合ったときに、代数的にはtendor productを考えたいところだが、問題はそこへのノルムの入れ方である。実のところそれぞれのノルムからcanonicalには決まらない。【Lau67】なんかを見るといい。よってtensorの理論を展開する場合には、ある条件を満たすノルムを1つ選んで話す場合が多い。Categoricalな意味でのcolimitに対応させる場合にはmaximal tesorというのが考えられる。
 トポロジーとの関連としては、compact Hausdorff空間から可換なBanach algebraへ、関数環を取るという関手が考えられる。一方、可換なBanach algebraからは極大イデアルのなす空間を考える事により逆の対応があり、これがadjointになっている。詳しく言えば、compact Hausdorff空間の圏は可換なBanach algebraの圏に埋め込まれ、そのイメージに当たるのが可換なC^*-algberaになっている。Lansmanの【Lan03】の前半が詳しい。非可換なversionも考えられている【Rey11】。